YAMASA通信 No.41 2001年6月1日(金) YAMSA言語文化研究所・隔月発行
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「継続は力なり、経験は宝なり」
加藤達也・写真
 皆さん、こんにちは。YAMASA言語文化研究所の加藤達也です。YAMASA通信の紙面では初めてご挨拶申し上げます。
 1992年4月、YAMASA言語文化研究所は日本語教育機関として学生数2名から出発し、今年でいよいよ10年という節目の年を迎えることとなりました。去年改装工事を終えた新しい校舎を含めますと現在では教室数26、学生数131人となっております。これは偏に皆様からのご支援の賜物であり、今後とも変わらぬお力添えを頂けます様、よろしくお願い申し上げます。
 この10年でYAMASAを取り巻く環境は随分と様変わり致しました。更にも言わず、社会全体が大きく変化致しました。通信のインフラが整い、インターネットの急速な普及などにより、今ではまるで近所に回覧版を回すように世界中に情報を発信することが出来るのです。こうした技術の進歩にも支えられ、YAMASAで勉強する学生は30ヶ国以上の国々からやって来るようになりました。私共はこうして遠くから足を運んでくれた人たちに、語学のみならず、日本の文化も体験してもらえるよう、このYAMASA通信を通して地元の皆様との交流を促進して参りたいと考えております。そしてそれが取りも直さず、皆様にとりましても日本にいながらにして異文化を体験できる貴重な機会になるものと信じております。
 さて、「習うより慣れよ」とはよく申しますが、語学の修得にはこの「慣れる」ことが非常に大切であると実感しております。慣れることとはすなわち体験の積み重ねであり、異文化を理解・体験し、異質なものに数多く触れる場を踏むことだと思います。そしてそれが思いがけず他人に対する気遣いや思いやりに繋がって参ります。あるいは単純に、判断力が向上するといった合理的な見方でもよろしいでしょう。最近YAMASAの学生から興味深い話を聞くことが出来ましたので、ここにご紹介致します。
 来日して間もないこのひとりの学生は、とあるファーストフード店に入りました。彼は、日常会話程度はどうにか出来ますので、きっと自分が欲しい物を正しく注文出来たと思います。すると店員さんが答えて言いました。
「こちらでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」
折角ここまで落ち着いてそつがなく出来たと思って安心していたのに、この一言が分からず彼はいくらか慌てたようです。
「スミマセン。ワカリマセン。モウイチド?」
「こちらでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」
困った表情の学生を見て取った店員さんは、彼が日本語が上手ではないことを察したようです。
「こ・ち・ら・で・お・め・し・あ・が・り・で・す・か・お・も・ち・か・え・り・で・す・か?」
一字一字区切ってゆっくり丁寧には言ってくれたものの、「食べる」の尊敬語が「召し上がる」であることをこの学生がまだ知らないことに、店員さんはなかなか気付かなかったようでした。私自身、初めて海外のファーストフード店に入った時も似たような体験を致しました。店員さんに「Eat here or take away?」と聞かれ、これが「イーティア・ォ・タイクアワイ」と聞こえることと、「持ち帰り」は「take out」だと思っていたこととで、私には全く聞き取ることが出来ず、ただもじもじするばかりでした。しかしそこで店員さんは、さっと持ち帰り用の袋に注文した物を詰め、笑顔で渡してくれたのです。お分かりになりますか?こうすれば、それを持ち帰ることも、それを持って席について店で食べることも出来るのです。そこは国際都市で英語が出来ない人もたくさん暮らしています。きっと英語が出来ない客にも慣れていたのでしょう。このようなちょっとしたひとつの体験でも自分の引き出しの中にしまっておきますと、初めて触れる場面に直面した際、きっと何かの役に立つことでしょう。私共YAMASAも、市民レベルの国際交流を通して、皆様のお役に立つことができましたら幸いに存じます。 (YAMASA言語文化研究所 加藤 達也)

 ●●● 辛かったYAMASAでの始め  全 淳英(韓国) ●●●
 飛行機の窓の下にどんどん小さくなる金浦国際空港を見下ろしながら、「今度こそはきっと日本語をぺらぺらとしゃべれるようになってソウルへ戻ろう!」と決心しました、皆さんと同じように。私がこのように決めたのは、実は、英語の勉強のためにアメリカにも留学したことがありましたが、それが失敗になってしまって、今も英語の会話はおろか字幕付きの映画もわずかしか理解できない情けない経験があったからです。
 大きいトランクを二つ引きずりながらYAMASAの事務所で董先生にたどたどしい日本語で話しかけながら再び「いつかは流暢に話すぞ!」と心構えをしました。
 クラスが決まってから始まった授業。この授業が私にとって予想より難しかったのです。授業中はずっと休みなく辞書を引き、寮へ戻ってきては当日教えてもらったものを文字通りに一生懸命復習する日々が続きました。しかし、脳の能力にも限りがあることは当然の事。ある日は百個以上も新しい単語を頭の中無理矢理に叩き込むこともある厳しい生活が10日くらい過ぎました。毎日辞書を側に置き、寮に帰るや否やまた辞書を引き、単語を覚えるのに目が回るほど。隣の部屋に誰かが住んでいるか、いまテレビで何を放送しているかなんかは私には全然関係ない別世界の離れた話でした。授業が始まって10日で私はここ日本、いやYAMASAに通うのが嫌になり始めました。たとえ私が日本語の為に日本に来たと言えども、このように少しも暇もなく生活をするとは夢にも考えなかったからです。なにか良い方法がないかと悩みきってから、結局先生と相談した方が良いと思って先生に私のその間の事情を申し上げました。「このクラスの授業は私にはとても難しすぎてついて行けないですから、下のクラスに変えて下さい。本当にお願いします。」と言った所、先生は「全さん、先生としては大丈夫だと思いますが。でも下のクラスに行きたいですか?」とおっしゃったので私は即座に大声で「はい!」と答えました。先生は下のクラスの都合を調べてからまた話しましょうと約束しました。翌日「下のクラスはいっぱいなので今のクラスで勉強しなければならないです。」と言う先生のお話を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になっていきなり涙が湧き出ました。今その時を振り返るととてもはずかしいですが、当時の私にとってクラスの変更は何より重要な問題でした。とにかく神様のお陰で翌日から下のクラスでの学校生活が始まりました。能力試験のために文法を中心とした授業の内容も私にとってものすごく役にたって、学期が終わる頃には前より少しは日本語で話せるようになりました。そして新学期に入り私は難しすぎて悩んだそのクラスで勉強しています。以前と同じように私はこのクラスで一番日本語が下手です。先生がお話しになる言葉も全部理解できるわけではないですが、三ヶ月前の私と比べると、天と地の差があるほど楽しく勉強しています。地獄訓練みたいに辛かったYAMASAでの始めの10日の経験は、私にここでの生活をさらに楽しめる刺激をくれた忘れられない貴重な時間でした。

 ●●● ホームステイ受け入れのお願い ●●●
 YAMASAでは国際交流の一環としてホームステイの受け入れ家族を幅広く募集しています。異文化のふれあい、日本の再発見には絶好の機会となります。ひとりでも多くの学生が日本に一層興味を持ち、この地域との交流が盛んになればと思っております。週末の一泊二日から受け付けておりますので、是非、この機会に異文化体験はいかがでしょうか。
ホームページ開設 http://www.yamasa.org/hs/

 ●●● 六ツ美中部小学校国際交流会 ●●●
 今期、第1回目の国際交流会が5月16日(水)に行われました。YAMASAの学生15名が嬉しそうに小学校へ向かいました。そこで小学校での出来事を二つ質問してみました。さて、どんな答えが返って来たでしょうか?
Q1. 学校で何をしましたか?
Q2. 国際交流会に参加してどうでしたか?
●氏名(国籍)
・Mark Turek(アメリカ)さん
・Eng-On Jitsajja(タイ)さん
・Tay Swan Geok(シンガポール)さん
・裴 峻商(韓国)さん
・Jan Aandree(チェコ)
・Wai Win Chow(マレーシア)さん
・Stefanie Tan Sue-Lyu(シンガポール)さんの答

★--A1.
子供達と一緒にゲームをしたり話をしました。
自分の国の事について話をしたり、いろいろな質問に答えました。
折り紙をしたり豆を運ぶゲームをしました。
★--A2.
とても楽しかったです。
おもしろい経験です。

●氏名(国籍) :Steffen Lehmann(ドイツ)さんの答
★--A1.
ゲームや話をしました。
★--A2.
本当に楽しかったです。また、今度も参加したいと思います。学生達と自由に話しができて、日本の学生がどんな生活をしているのか少し分かったような気がします。

●氏名(国籍) :孫 美淑(韓国)さんの答
★--A1.
日本についていろいろな質問をしたり、学生と一緒にゲームをしました。
★--A2.
良い経験だったと思います。日本文化についても学ぶ事もできるし私の国の事も教える事ができるので良い事だと思います。

●氏名(国籍) :Albert Jenni(スイス)さんの答
★--A1.
日本についての私の意見、良い点、悪い点について話をしました。
★--A2.
良い経験だと思います。時間が少し短かったので相互の理解を深める事が難しかったです。

●氏名(国籍) :李 蓮勝(韓国)さんの答
★--A1.
ゲームをしたりいろいろな話をしました。
★--A2.
この交流会が4回目でしたので、質問に対する答を準備しておいたので、もっと楽しかったです。

 ●●● 人物紹介 ●●●
今月号はYAMASA言語文化研究所の新任教師を4人紹介致します。
◆中川 藍 先生

 私が4月からYAMASAで働き始めてから早いもので1月以上が過ぎました。まだ、慣れない事がたくさんありますが、たくさんの先生方に助けていただきながら楽しくやっております。私が日本語教師になったわけは、アメリカに短期留学していた時に、日本の良さを改めて実感し、日本語を通して日本の文化、風土などを伝えたいと思ったからです。そのことをいつも心において、楽しくわかりやすい授業を心掛けたいと思っています。これからも一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします。

◆鶴田 恵美 先生
 今年4月よりYAMASAで日本語教師をしています。初めてのことばかりで毎日緊張していますが、精一杯やっています。
 趣味は旅行で、これまでに10カ国ほど旅をしました。旅行の楽しみは現地の物を食べる事と、人とふれあうことだと思います。交流を深めるうちに、日本について聞かれたり、日本語についての質問をたくさん受けました。
 しかし、わたしはきちんと答える事ができなかったので、きちんと勉強したいと思いました。そして、日本語教師になりたいと思うようになりました。これからも楽しく授業ができるようがんばっていきたいです。

◆近藤 みかる 先生
 私の趣味は旅行です。旅行は友達と行くことが多いのですが、言葉が通じそうな国であれば頑張って一人で行くこともあります。その他にお茶、お華、弓道、舞踊等、日本的な事が好きで十代の頃から続けています。ただ、今は少し時間的に余裕がないので、お茶以外はお休みしています。またいずれ少しずつ始められればと思っています。
 YAMASAに来る前は名古屋にある沖縄県庁の出先機関で働いていました。沖縄の観光案内のような仕事もしていましたので、沖縄に関する事でしたら何でも(?)聞いて下さい!!
 YAMASAに来てからは、自分の勉強不足を痛感する事が本当に多いです。でも今後もこれまで以上に頑張って、そして楽しく日本語を教えていければと思っています。こんな私ですが、どうぞ宜しくお願い致します。

◆丸山 朋子 先生
 YAMASAに来て1ヶ月半が過ぎましたが、まだ授業の準備に時間がかかってしまい、担当日の前日はほとんど眠れないこともしばしばです。でも学生とのやりとりはとても楽しく、この仕事につけて良かったなぁと思っています。今の悩みは運動不足。スポーツクラブにもなかなか行けず、教室までの階段の上り下りが唯一の運動という状況です。実際、日本語教師も体力勝負の仕事ですよね(実感)。心もお腹もたるまないように頑張らなくては!!

日本語能力試験1級(外国人用)に挑戦してみよう!
・次の文の下線をつけた言葉は、どのような漢字を書きますか。
 その漢字をそれぞれの1・2・3・4から一つ選びなさい。
問1 しょうげんによると、彼はたび重なるきょうはく電話におびやかされていた。
(1)しょうげん 1.上限 2.証言 3.狂言 4.公言
(2)きょうはく 1.脅迫 2.供白 3.強白 4.凶白
(3)おびやかされて 1.脅かされて 2.暴かかされて 3.急かされて 4.驚かされて
問2 成功するまでのかていが、ノートにしょうさいしるされている。
(1)かてい 1.確定 2.改訂 3.過程 4.勝手
(2)しょうさい 1.詳細 2.詳際 3.詳計 4.詳最
(3)しるされて 1.示されて 2.記されて 3.印されて 4.画されて
問3 彼は人物びょうしゃたくみさで読者の人気をはくした
(1)びょうしゃ 1.評写 2.表写 3.描写 4.評者
(2)たくみさ 1.上手さ 2.巧みさ 3.妙みさ 4.敏みさ
(3)はくした 1.博した 2.拍した 3.爆した 4.迫した
※答え  問1 (1)2, (2)1, (3)1
問2 (1)3, (2)1, (3)2
問3 (1)3, (2)2, (3)1

ホストファミリーを募集しています。詳しくは黒河までご連絡ください。
● YAMASA通信ではみなさまからのご意見、お便りを募集しています。お手紙、FAX、Eメールで承っています。どしどしお寄せください。
●編集・発行●
服部公益財団YAMASA言語文化研究所
444-0832 愛知県岡崎市羽根東町1-2-1
tel:0564-55-8111 fax:0564-55-8113
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