YAMASA通信 No.45 2002年2月1日(金) YAMSA言語文化研究所・隔月発行
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「人に伝え、人から教わる」
 教えることと伝えることとは、本質的に同じ作業だと思う。どちらも相手があって成り立ち、相手が理解して初めてその目的が果たされたといえるからだ。「いいえ、私は確かに伝えました。」と、よく言ってしまうが、相手が正しく理解していなかったなら、それは伝えたことにはならないだろう。私は授業で日本語を教えることはないが、自分の仕事の大部分は伝えることだと思っている。もっとも人間社会そのものが、周りを見渡してみても、歴史を振り返ってみても、人が何かを互いに伝え合うことが全ての基本になっているようにさえ思える。
 今自分が知っていることは、人から教わったものばかりだ。知っている/知らないという知識だけではない。自分の考え方や判断基準、感じ方の中にも、人から教わったものや人との関わりが基本になっていると感じている。私は「人恋しい」という感情も、実はやっと数年前に人から教わったばかりだ。それまでも概念としてはもちろん知っていたが、きっと本当に感じたことは無かったのだろう。それ以前は、たとえ人が「寂しい」と口にしても、それを自分が知っている範囲内で推し量るのが精一杯で、自分が知っている大きさがその全てだと思っていた。だから、人が「寂しい」と口にする時の心の内までは十分に理解できていなかったはずだ。そしてある時期、人との関わりを通し、体に変調を来たして自分でもどうすることもできないほど寂しいと思ったことがあり、初めてその痛みの大きさを知った。それはとても良い時期の揺り返しのようにやって来たので、感情にはこんなにも広い振幅があったのかと驚いたものだが、今になってみると、その領域が広がった分、たとえ同じ日本語での会話であっても、人が「寂しい」という言葉で伝えようとしている気持ちの意味が以前よりは理解できるようになったと思う。言葉の意味を知ることと、それが何であるかを知ることとは、必ずしも一致してはいないのだ。
 人は、思いがけず新しいことを教えてくれる貴重な財産だと思う。「教えてくれる」と言うより、「授けてくれる」と言えばもっと体がいいかも知れない。そして最近、ちょっとした気分転換の時間に新しい視点を手に入れて、また得をした気分になった。
 同じ職場に居る仲間でも、仕事中に話す時間は限られているので、相手がちょっと席を立った時や擦れ違いざまなどに、できるだけ人と話すように心掛けている。特に、お昼時や夕方などお腹が空く時間になると「ちょっと出掛けるけど、何かついでに買ってくるものある?」と、同僚が声を掛けてくれるので、私は自分では何も必要なくても、しばしば一緒に行って休憩の代わりにすることがある。パソコンの画面を見続けて疲れた目を休める時間でもあるし、ちょっと人と話をするにはちょうど良い機会になるからだ。
 一度身に付いたものはなかなか失わないもので、以前、食品を扱う商社で営業をしていたことがあるため、スーパーへ行くと今でもついつい商品の製造元や値段を見てしまう。そして価格破壊の憂き目に遭った加工食品たちの原価構成比に思いを巡らしながら、作った人や運んだ人、売り歩いた人や買い叩いた人の顔を勝手に想像する。ある時「ヤマナカ行くけど…」と、トマーシュさん(YAMASA通信8月号に登場)に声を掛けられ、例によって何も欲しい物はなかったが一緒に行った。たいていたわい無い世間話をするばかりで、ちょっとした休憩時間に過ぎないのだが、それがまた実は結構貴重な時間であったりもするのだ。そしてこの日も、缶詰の棚の前で彼が驚いて声を上げた時、「今日は何だろう?」と、早速私も興味を持った。
 いつもながら何かと細かいことに驚くトマーシュさんが言う。
「ちょっと見てこれ!桃缶が1個100円?どうして?こっちのはもっと小さいのにもっと高い!」
そう言われてやおら表示を見れば、「原産国ギリシャ」と書いてある。
「輸入ものだからだよ。ほら、ここ見て。『げんさんこくギリシャ』って書いてあるでしょ。ギリシャはGreeceね。」
トマーシュさんなら、輸入物の方が安いことはわざわざ説明しなくても知っている。私は、
「ギリシャから持って来るフレートだって100円の中で結構高い割合占めてそうだね。」
というところまでは普通に発想し、『ケース当たり何缶入りそうだの、コンテナ当たり何ケース入りそうだの』と、頭の中で計算を始めたが、それに続けて聞いたトマーシュさんの視点は思いも寄らないものだったので驚いた。
「でもね。この100円に含まれてないもの実はたくさんあるよ。最近聞いたことある。海で運ぶ船?あのエンジン強力なディーゼルでしょ。汚ぃったない。しかも世界中の海にいっぱいある。空気いっぱい汚れる大気汚染でしょ。地球全体の中、海の船が汚ぃったなくする割合結構多いと聞いた。じゃあ環境破壊してそれを直すお金誰が払う?これ買う人が払わなきゃでしょ。100円は全部本当の値段じゃないよ。でもそれ言ったら難しいね。計算できないし、そんなお金誰も自分で払いたくないでしょ。ああ、もうやだ…。」
 トマーシュの講義(抗議?)はしばらく続き、次から次へと話題が広がっていく。こうして自分が知らなかった角度からの視点にまた気付かされ、「なるほどやっぱり人は財産だな」と、その有り難味を改めて想ったのであった。
 (YAMASA言語文化研究所 加藤 達也)


「母 の 例」(John Holway :アメリカ)
 母は日本人で、仙台に生まれ育ちました。三十歳位の時、アメリカ人の父と会って、結婚しました。結婚してから、父と一緒にアメリカに移民して、ずっとアメリカに住んでいます。母はアメリカに着いた時、英語はあまり話せませんでしたが、一生懸命勉強をした結果、会話どころか仕事もできるようになりました。しかし、いまだに母の発音と文法はちょっと変です。
 十年位前のある日、母は私の妹を乗せて運転していました。母はついスピードを出しました。突然パトカーが現れて警官に車を止めるように言われました。警官がパトカーを降りて母の車に近づいて、話そうとした時、母は急に「Me no English!」と大きい声で言いました。「私、英語ない!」という意味です。これを聞いたその警官は私の妹に「お母さんに速度をオーバーした事を説明して下さい」と言いました。全然、日本語ができない妹は本当に困ってしまいました。「どうしよう?もし、今説明させられたら、何でもいいから日本語らしい話し方をすればいいのだろうか」を考えているうちに、警官は何も言わずにパトカーに戻って行ってしまいました。こんなふうに母は無事に警官につかまる事はありませんでした。
 私は子供の時、英語しか習っていませんでした。簡単なあいさつ以外、例えば「ただいま」とか「おはようございます」の日本語も全然話せませんでした。でも二十五歳位の時から日本語にあこがれがありました。兄弟の中で私だけ日本で話せるようになりたいというわけです。やっと、日本に来て勉強を始めましたが。思ったより時間がかかる事に気がつきました。
 日本に来てから一年経つのに、なかなか上手になっていません。「読めないし、書けないし、発音も悪いし、日常会話どころか簡単な文さえできない」という気持ちを持っています。何回も勉強をやめてアメリカに帰ろうと考えましたが、母の事を思い出しては、続けています。日本語が上手にならなくても、母の事がますますよく分かるようになりました。話したい事を正確に話せないのは大変苦しいと思います。
 このごろ母に電話をかけると、少し日本語で話せる機会がありますけど、私の日本語は下手だし、電話代も高いし、日本語で会話を始めながら結局は英語に変わってしまいます。しかし、そんな言葉でも話をすると、嬉しくてなりません。どんなに気が重くなってもどんなにやめたくなっても、母のおかげで続けられるというわけです。一方、住んでいる言葉が分からないという点もあるでしょう。すなわち、もしいつか警察に止められたら、母の例と同じように「私、日本語ない!」と言う返事をしようと思います。


平成13年12月20日(木)あおいホール(階段教室)

YAMASAの学生がクリスマス会を兼ね、クラス毎に歌を披露しました。日頃よりカラオ ケに通う学生達は日本の歌がとても上手です。中には日本の「演歌」を良く歌う学生もいるとか・・・。各教室での秘密の練習成果を発揮する場とあって、力一杯歌っている様子が伺えます。最後に優勝クラスの代表者をインタビューしてみました。ご覧下さい。
AJSPfragile(Every LittleThing)
A男と女のラブゲーム (葵司郎・日野美歌)
B明日があるさ(Re:Japan)
Cきよしこの夜(クリスマスソング)
Dおはロック(慎吾ママ)
E3年目の浮気(ヒロシ&キーボー)
Fカレンダーガール(ニールセダカ)
Gお魚天国 (スーパーヤマナカ)
H赤鼻のトナカイ(クリスマスソング)
Iおどるポンポコリン(B・Bクィーンズ)
Jおやすみなさい(aiko)
Kいい湯だな(ドリフターズ)
AccpAYMCA(西城秀樹)
AccpB上を向いて歩こう(坂本九)

☆ 優勝クラス ☆  E   3年目の浮気

代表:Nathaniel Graddyさん(アメリカ)
Q,カラオケは好きですか?
A,はい、大好きです。
Q,どこで歌を歌いますか?
A,金山にある店です。(うーん、店の名前が分からない・・・)
Q,どんな歌を歌いますか?
A,アメリカのクラシックロックやサザンオールスターズの歌かな
Q,カラオケ大会までどのくらい練習をしましたか?
A,全体の練習時間は4,5時間ぐらいだったかな。
Q,最後に優勝賞金(1万5千円)は何に使いましたか?
A,Eクラスの皆さんと一緒にご飯を食べに行きました。先生も一緒に行った。

●●●YAMASA言語文化研究所 職員募集●●●

専任職員募集条件
 ・短大、専修学校卒業以上の学歴を持っていること。
 ・英語又は中国語で外国人学生へ生活指導ができること。
 ・コンピューター入力ができること。(MSワードとエクセルを使用)
 ・協調性があり、財団法人服部公益財団の運営方針に添って働けること。

業務内容は、YAMASA言語文化研究所学生課での事務処理及び学生への生活指導などです。
詳しくは直接こちらまでお問い合わせ下さい。
問い合わせ先:YAMASA言語文化研究所 TEL0564-55-8111 担当 董 万初(とう ばんしょ)まで


日本語能力試験1級(外国人用)に挑戦してみよう!
・次の下線をつけた言葉は、どのような漢字を書きますか?
同じ漢字を使うものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
問1 かぜのよぼうにはうがいが有効だそうだ。
1. 好きな小説は推理小説やぼうけん小説だ。
2. このビルでは自殺ぼうしのために屋上に高い棚をつけている。
3. 昨日、ぶんぼうぐ屋でノートとはさみを買った。
4. 試合中に相手選手のぼうがいをして退場になった。
問2 あの花はにおいも強いし、かふんも落ちるから、机の上には置きたくない
1. この薬はふんまつだから飲みやすい。
2. 最近あの国では内乱やふんそうが絶えない。
3. そんなにこうふんしないで冷静に話し合おう。
4. 公園のふんすいは故障中だ。
問3 この大時計は卒業生が学校にきしたものだそうだ。
1. 銀行はさいを抱えた会社を調査した。
2. 今年は天候じゅんで作物がうまく育たなかった。
3. このデパートは2,3,4階全部がじん服の売り場だ。
4. この教科書にはぞくのテープがある。
※答え  問1  2
問2  1
問3  4

ホストファミリーを募集しています。詳しくは黒河までご連絡ください。
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