YAMASA通信 No.68 2005年12・2006年1月号 YAMSA言語文化研究所・隔月発行
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新年早々の授業後、お正月の挨拶はどのように言うのか聞いてみました。
8種類の母国語をもつ皆さんが集まって、それぞれに書いてくれました。
新年を迎えて
所長 服部良男
新年おめでとうございます。
今年は、YAMASA言語文化研究所が認可されて15年になりますが、設立当時の話をします。YAMASA言語文化研究所は1991年3月に設立準備チームが立ち上がり、1991年11月に 日本語教育振興協会より認定され、1992年4月に開校しました。
さて、日本語教育機関を設立したきっかけですが、それは1980年代に作った服部工業株式会社の高雄の台湾子会社、台湾服部のお客様のご子息やご令嬢を日本の日本語学校や大学に入学させるために多数の保証人をしたことに始まります。留学生がまだ全国に1万人ぐらいだったと思いますが、その台湾からの留学生が日本のファンにならないことに心を痛めていました。
時は、まさにバブルに突入しており、留学生に対して援助するメセナが盛んでありました。名古屋大学、中京大学の留学生センターなどを訪問していましたが、ある時、知人に南山大学の駒井先生を紹介して頂き、大学の先輩でもあるので、訪問したところ、
「服部さん日本語学校を作りませんか、東京や大阪には民間の日本語学校がありますが、中部地区にはほとんどありません。大学の別科だけでは私費留学生の日本語教育に手が回りません。もしよかったら僕がお手伝いします。」
とのことであった。もちろん、日本語教育も日本語学校の存在も知らず、しばらくそのままにしておいた。
その後、今、女子のレスリングで有名な女子大学の理事長・学長のT女史に会う機会があり、その話をしたところ
「服部さん、そんな儲からない日本語学校を作らないで、我が校がアジア文化研究所を作るので一緒にやりませんか?」
との誘いであった。
もともと、へそ曲がりの性格がアダで、人からダメだといわれると、俄然意欲が湧き、さっそく駒井先生にお願いに行き、国立国語研究所の水谷先生、名古屋大学の藤原先生をご紹介いただき、そのお弟子さんの武藤氏を紹介され、準備室がスタートした。それと同時にこのYAMASAIIビルの設計が始まったのである。そして最初に訪問した日本語学校が戦前から長沼スクールとして有名な、かの長沼先生の日本語学校であった。スタートがバブル期であったので、日本語教育機関の設立は、外国人労働者の人集めであると疑っていた人たちが多かったと,後で父親の前常務理事から聞いた。
1989年12月には38,951円だった平均株価は、92年3月に2万円を下回り、92年8月には14,309円にまで暴落した年であった。為替は、1ドル125円前後であった。いわゆるバブル経済の崩壊の始まった時に、YAMASA言語文化研究所は、中国人留学生をめぐる法務省の方針により大変厳しい状況であるのを知らずに無謀にも船出をしたのである。
幸い、多くの優秀なスタッフの皆さんのお陰で、なんとか今日まで生き残ってこられたのは感無量である。
2005年に日本の人口が減少し始めた。2100年には6,000万人まで減少すると予測する社会学者もいる。当然、労働力不足など多くの問題を抱えることになる。その中で必ず、外国人の入国問題は避けてとおることができなくなるであろう。経済成長下での単純労働力としての外国人だけでなく、昨年末、東証のシステム問題になったコンピュータ技術者など色々なセグメントで、外国人が日本の経済と社会を支えていくことになる。
“外国人との共生”という問題で一番問題になるのが、コミュニケーション即ち、日本語と日本文化である。
2006年は、留学生受け入れのための日本語教育というパラダイムから、日本が豊かになるための日本語教育へのパラダイムシフトがスタートした。
YAMASA言語文化研究所がそのような豊かな日本の一助となれば、駒井先生との約束を達成できる日が近づく。軸をずらさないで、これからも精進したい。
今年は例年になく厳しい寒さの中でお正月を迎えました。皆さんお正月を十分楽しむことができたでしょうか。
日本には初詣、おせち料理、お年玉等、お正月でなくては見られない風俗・習慣がたくさんあります。
YAMASAの学生の皆さんにお国の正月の様子を聞いてみました。
お正月はいつからいつまで?
12月24日から1月13日まで(ウクライナ)
12月30日から1月2日まで(タイ)
12月25日から1月2日まで(インドネシア)
1月1日だけ(オーストラリア・イギリス・フランス・アメリカ・ブラジル)
1月下旬から2月上旬。年によって違う。新暦年の休みは1月1日だけ。(中国、台湾)
4月14日(ネパール)
・キリスト教文化圏ではクリスマスが中心で、お正月の休暇は日本ほど多くないようです。
・中国・台湾では、太陽暦ではなく、昔、日本でも使われていた太陰暦を使って正月を祝っているところが多いようです。
・同じ国でも地域によって異なる場合もあるようです。
お正月に何をしますか。
親戚、親友などを訪問する。獅子の舞や竜の舞を見る。(香港)
家族で一緒に餃子などを食べる。親戚回りをする(中国)
人によって違うけどバーべキューなどのパーティーをする。(南アフリカ)
クリスマスは家族、正月は友達、恋人と一緒。(メキシコ)
家族と一緒に過ごし、最後の日に花火をする。(台湾)
お寺へ行ってお祈りをします。(ネパール)
パーティーをして、12時になって花火を見る。(オーストラリア・イタリア)
カウントダウンをする。(アメリカ・イタリア)
・家族とともに過ごし、楽しい食卓を囲むというのは世界共通のようですね。
・年の変わり目に花火を上げる国・地域が多いようです。最近日本でも時々見られるようになりました。
・今までは、除夜の鐘を数えながら新しい年を迎えてきました。
最近では日本でも、西欧の風習が若い人の間で受け入れられ、カウントダウンで新しい年を迎えることも増えてきたようです。
特別な料理を作りますか。
鍋、魚の料理、餃子など。魚は財運を残すという言葉と音が同じで、めでたいものとして歓迎される。(中国・台湾)
鶏が不可欠の料理。(香港)
トルティエル、ローストハム、七面鳥などの料理。(カナダ)
七面鳥を焼く。(ウクライナ・インドネシア・ペルー)
「タマレス」とか「ロメリトス」。12時になると12粒ずつぶどうを食べる。(メキシコ)
「トックック」というお雑煮に似た料理。(韓国)
特にない。(オーストラリア、イギリス、フランス、アメリカ)
・新年を重視する国では料理も特別なものが出される傾向にあります。
特別な料理を作りますか。
お年玉のような習慣は?
ある。圧歳銭という。(台湾)
ある。(香港・中国・韓国)
お金ではなく、おもちゃやキャンデー。(カナダ)
大体同じようなものはある。(インドネシア)
ありません。(ブラジル、オーストラリア、イギリス、フランス、アメリカ)
・お年玉という風習は東洋に限定されるようですね。年に一度、大人が子どもたちの大喜びする姿が見たくて、日常では与えない額を振る舞うという意味では、クリスマスの贈り物と同様の風習です。
「日本語教師って・・・」
教務主任 横沢徳一
現在YAMASAに日本語を学ぶために来ている学習者たちは、国籍も、目的も、日本語の力も、そして考え方も実に様々です。私たち日本語教師は、そのような多様な学習者たちにことばの使い方を理解してもらうために、いろいろな工夫をしています。
日本語教師。一言で言えば日本語を教える先生ということですが、学習者から見た日本語教師にはいろいろな側面があると思います。
『医者』の面
『カウンセラー』の面
『俳優』の面
『エンターテイナー』の面
『日本人サンプル』の面
『よき友人』の面
『家族』の面
まず、日本語教師には、専門的な知識を持って学習者の問題点を見つけ、適切な処置を施す『日本語のお医者さん』の面があります。しかし同時に学習者が抱えている問題をよく聞き、アドバイスをする『カウンセラー』の面もあるでしょう。
それだけではありません。授業の時に、場面の状況を設定するために演技を繰り広げる様は『俳優』と言っても過言ではありません。しかしある時には学習者を楽しませるためユーモアのある話をする『エンターテイナー』にもなります。
日本に来たばかりの学習者にとって、日本語教師は数少ない知っている日本人、すなわち『日本人のサンプル』であり、時間が経てば、『よき友人』のように一緒にお酒を飲んだりカラオケで歌を歌ったりすることもあります。さらにはまるで『家族』のような深い信頼関係になることも決して珍しいことではありません。
もちろんすべての日本語教師がすべての面を同じように持っているとは限りません。人によって得意としている分野や目指している方向は違います。そんなことを考えてみると、日本語教師という人々も決して一律ではないということが言えるのではないでしょうか。
国 際 交 流
12月13日、福岡中学校の3年生、13名の皆さんが、総合学習の一環で、YAMASAを訪問してくれました。有意義な交流ができました。全員が感想文を寄せてくれましたが、代表2名の生徒さんの作文をお読みください。
YAMASAを訪れて
福岡中3年 森田 愛茄
私達は、総合学習で「歌で外国人と交流しよう」というテーマで学習を進めてきました。まず歌を決めて、それをインターネットを使って自分達で英語に訳しました。しかし、発信をしに行く場所がなかなか見つかりませんでした。困っていた私達に、先生が紹介して下さったのがYAMASA言語文化研究所でした。私達は、YAMASAのホームページや、YAMASA通信を見て、学生さんが生き生きと生活しているYAMASAに興味を持ち、ぜひYAMASAの学生さんと交流をしたいと思い、YAMASAへ行く事にしました。
12月13日の発信活動では、ちゃんと歌が歌えるか、学生さんに楽しんでもらえるだろうかと不安もありましたが、一時間という短い間、とても楽しく充実した時間を過ごす事ができました。私は特に後半、学生さんとお互いの趣味などについてお話した事が印象に残りました。 うまく言葉が伝わらない時もあり、身ぶり手ぶりで一生懸命相手に伝えようとしました。うまく相手に伝わった時は、私も嬉しい気持ちになり、これが国際交流なのだなと実感しました。夢中になっているとすぐに時間がきてしまい、もっとお話したいと思うほどでした。とてもよい経験をすることができました。お別れの時に、学生さんのある一人が「楽しかったよ。ありがとう。」といってくださったのを聞いて、YAMASAに行って本当に良かったと思いました。YAMASAのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。また、機会があれば、YAMASAを訪ねたいと思います。
国際交流
福岡中3年 重 あづさ
先日、私は総合学習の勉強でYAMASAさんを訪問させていただきました。目的は、歌を通して外国の方と交流できたらいいなということでした。事前に私たちは、童謡を英語バージョンに直したものを用意しておきました。しかし、YAMASAさんは、いろいろな国から来た人達が通う学校なので、英語が伝わるかどうか少し心配でした。日本語を学んでいるところなのだから、日本語でも歌うことに決めました。
いよいよ本番。はじめに「幸せなら手をたたこう」を歌いました。私たちが歌っていると、一緒に手をたたいたりしてくれたので、とてもうれしかったです。二曲目は「世界中の子どもたちが」です。この曲は知らない方もいたと思いますが、ちゃんと伝わったでしょうか。
音楽会が終わると、いろんな人と話をしたりしました。会話が続くだろうかと不安な気持ちがありましたが、たくさん話しかけてくれて安心しました。趣味の話をしたり、中学校の話をしたりしました。私が、
「日本は好きですか。」
と聞くと、
「もちろん。」
という答えが返ってきたので、うれしくなりました。
私は外国の方に、もっともっと日本の良さを知ってもらい“みんなが愛する日本”にしたいなぁと思いました。
今回は訪問させていただき本当にありがとうございました。YAMASAに通っている皆さん、日本語の勉強をがんばって下さい。そして、日本の良さを知って下さい。
AIJPコース 非常勤講師 渡邉恭子
先学期も終了間近の12月21日、Dクラスで生け花を行いました。12月上旬の日本語能力検定試験までは試験のための日本語を中心に勉強していましたが、その後は日本映画を鑑賞したり、ミニドラマを作成するなど、日本文化に触れる様々な活動を取り入れていきました。その一環として私は生け花を担当することになりましたが、私自身、生け花に精通しているわけでもなく、とりあえず基本的なことだけを伝え、後は学生のみなさんが自由な発想で作品を完成させました。それぞれ心の中に描き出したイメージを器の上にうまく表現できたと思います。どの作品も個性豊かで、すばらしいものでした。また機会があれば、やってみたい、いろいろな作品を見てみたいと感じました。
めぐみワンダーランド託児室報告
めぐみワンダーランド託児室はJR岡崎駅前にあります。YAMASA言語文化研究所と同じく服部公益財団に属しています。1日平均25名ほどの子どもさんをお預かりしています。「園のお便り」から子どもたちの元気な様子が伝わってきます。
砂場で遊ぶ子ども達の姿から
主任 三浦泰子
「せんせいー見て!」T君の元気な声に振り向くと、砂が動物の顔の形になっていました。「しまじろうの顔、上手にできたね。」と、私が言うと、今度はSちゃんが「Sちゃんはね、プリンつくったよ。」と空き容器の形になっている砂を指差して言いました。「Sちゃんも上手にできたね。私も作ろう!」と、Sちゃんのプリンの隣に同じように型抜きをして作ると、「せんせいじょうず。」と、T君とSちゃんが言いました。すると、それを傍らで見ていたK君が、何かを試すように指で押さえたので、少し砂が崩れてしまいました。
「アーア、こわれちゃった。」とT君が言い、同じように私が「アーア」と、残念そうな顔をすると、Sちゃんが「大丈夫だよ、Sちゃんが作ってあげるでね。」と言ってプリンカップに砂を入れ始めました。
2歳になったばかりのK君の行動に対して、4歳のT君は咎めるのではなく優しい物言いで、3歳のSちゃんはK君を庇うように言いました。年長者として優しい気持ちで受け止めている言動に、子ども達の成長を感じ嬉しく思いました。
子ども達は、今、砂場でバケツやスコップ、ダンプカー、いろいろな容器等を使い、砂の感触を楽しんだり、いろいろなことを試したりして遊んでいます。また、裸足になったり座り込んだりして、開放感を味わいながらのびのびと遊んでいます。
私達保育者は、子ども達一人ひとりの思いを大切にし、また、発達段階を考慮しながら、子ども達の成長を援助していきたいと話し合っています。
託児室にサンタクロース来る!
去る12月14日に、めぐみワンダーランド託児室にサンタクロースが来ました。サンタクロースに扮したのは、かつてYAMASAに1年半在籍したプラッツ・マリオさんです。マリオさんは一昨年も扮してくれましたが、それが非常に好評だったので再度の登板をお願いしたところ快諾していただいたものです。子供たちの嬉しそうな表情はインターネットのホームページでライブ中継されました。
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編集部より
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12月のはじめに岡崎で初雪が降りました。台湾から留学してきているSさんが、人生で始めての「ゆき」を楽しみながら自転車で登校していきました。
気候もその地方の文化的な特色を左右する大きな要素になります。生まれてはじめて「ゆき」に触れて、世界的な豪雪地帯を抱える日本の文化をよりいっそう理解するのに、役立ったかもしれません。
それにしても今年はよく雪が降ります。雪深い地方の方々のご苦労を思うと、情緒的なことばかり言っておられません。安全を祈ります。
ホストファミリーを募集しています。詳しくは飯島までご連絡ください。
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服部公益財団YAMASA言語文化研究所
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